酷暑の夏を無理なく過ごすために
今年の夏は、外へ出た瞬間に息苦しさを感じるような、厳しい暑さが続いています。
「何もしていないのに疲れる」
「少し動いただけで、ぐったりする」
「眠っても疲れが抜けない」
「食欲がなく、冷たい物ばかり欲しくなる」
そんな不調を感じている方も多いのではないでしょうか。
暑い環境では、私たちの体は汗をかいたり、皮膚の血流を増やしたりしながら、体内にたまった熱を外へ逃がそうと働き続けています。
そのため、普段と同じように過ごしているつもりでも、体には思っている以上の負担がかかっています。
いつも通り動けない日があっても、怠けているわけではありません。
この夏は、
「まだ頑張れる」ではなく、
「しんどくなる前に、少し休んでおこう」
を大切にしてみてください。
暑さによる疲れを、根性で乗り切らない
暑い日は、屋外にいるときだけでなく、室内や就寝中にも熱中症が起こることがあります。
熱中症を防ぐためには、水分を補うことと、暑さそのものを避けることが基本です。エアコンや扇風機を適切に使い、暑い時間帯の外出や作業はできるだけ控えましょう。
「家にいるだけだから大丈夫」
「まだ汗をかいていないから大丈夫」
とは限りません。
朝から体が重い、頭がぼんやりする、食欲がない、いつもより動悸がするなど、普段と違う感覚がある日は、予定を減らして体を休ませることも大切です。
家事も仕事も、全部いつも通りにしようとしなくて大丈夫です。
掃除も部屋を涼しくしてからにする。
買い物は短時間で済ませる。
食事も、簡単に準備できるものを選ぶ。
夏の間だけは、少し手を抜くくらいでちょうどよいのかもしれません。
水分は「喉が渇く前に、少しずつ」
暑い日に、一度にたくさんの水を飲んでも、それだけで一日分の水分補給が完了するわけではありません。
喉の渇きを感じる前から、少量ずつ回数を分けて飲むことを意識しましょう。
たとえば、
- 朝起きたとき
- 外出する前
- 帰宅したとき
- 食事のとき
- 入浴の前後
- 寝る前
など、飲むタイミングを決めておくと忘れにくくなります。
たくさん汗をかいたときは、水分だけでなく、食事や飲み物から適度に塩分を補うことも必要です。環境省なども、喉が渇いていなくても、こまめに水分と塩分をとるよう呼びかけています。
ただし、心臓や腎臓の病気などで水分量や塩分量の指示を受けている方は、自己判断で増やさず、主治医の指示に従ってください。
冷たい物は、絶対に我慢しなくて大丈夫
東洋医学の養生では、冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎは、胃腸の働きを弱らせることがあると考えます。
だからといって、どんな状況でも冷たい物を避けなければならない、ということではありません。
暑い屋外で過ごしたあとや、体に熱がこもっていると感じるときは、涼しい場所へ移動し、適度に冷たい飲み物を取り入れたり、首や脇の下などを冷やしたりすることも大切です。公的な熱中症対策でも、涼しい場所への移動と体の冷却が勧められています。
一方で、
- 冷房の効いた部屋で長時間過ごしている
- 冷たい物を飲むとお腹が痛くなる
- 下痢をしやすい
- 食欲が落ちている
- 手足が冷えている
というときは、常温の飲み物や温かい汁物の方が体に合うこともあります。
大切なのは、
「冷たい物はダメ」という決まりを守ることではなく、そのときの環境と体調に合わせて選ぶこと。
真面目な方ほど、体に良いと聞いたことを一生懸命守ろうとされます。
けれども、養生は我慢比べではありません。
外では冷たい水分を、冷房の中では常温を選ぶなど、状況に応じて柔軟に使い分けてくださいね。
夏野菜は、暑い季節に理にかなった食べ物
きゅうり、トマト、なす、冬瓜、ゴーヤ、オクラなど、夏に旬を迎える野菜。
東洋医学では、夏野菜の中には、体にこもった熱を冷まし、暑い時季の体を助ける性質を持つものがあると考えられています。
水分を多く含む野菜もあり、食欲が落ちやすい夏の食事にも取り入れやすい食材です。
ただし、冷えやすい方や胃腸が弱っている方が、生野菜ばかりをたくさん食べると、お腹が冷えてしまうこともあります。
そのような場合は、
- なすやトマトを煮込む
- オクラをみそ汁に入れる
- 冬瓜をだしで煮る
- 野菜スープにする
- しょうがやねぎなどを少し添える
など、加熱して取り入れるのがおすすめです。
旬の食材を、その日の体調に合う調理方法でいただく。
それも東洋医学の養生のひとつです。
「食べられるものを食べる」ことも大切です
暑さで食欲が落ちると、そうめんやアイス、冷たい飲み物だけで済ませたくなる日もあります。
そのような日が一日あっても、必要以上に自分を責めなくて大丈夫です。
ただ、冷たい物や炭水化物だけの食事が続くと、疲れが抜けにくくなることがあります。
食べられそうであれば、
- 卵
- 豆腐
- 魚
- 肉
- 乳製品
- 汁物
なども、少量ずつ組み合わせてみてください。
一度にきちんとした食事を用意できなくても、
「朝に卵をひとつ」
「昼に豆腐を少し」
「夜に具入りのみそ汁」
というように、一日の中で少しずつ補えば十分です。
完璧な食事よりも、食べられる形で続けることを大切にしましょう。
熱中症かもしれないと思ったら
めまい、頭痛、吐き気、強いだるさ、大量の発汗、足がつる、ぼんやりするなどの症状があるときは、まず涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて体を冷やします。
自分で水分を飲める状態であれば、水分や塩分を補い、休んでください。
呼びかけに反応しない、自分で水分が飲めない、意識がおかしい場合は、無理に飲ませず、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
「少し休めば大丈夫」と我慢しすぎず、普段と違う強い症状があるときは、早めに医療機関へ相談してください。
災害への備えと同じくらい、普段の生活も大切に
7月28日に熊本地方で大きな地震が発生しました。
被災された皆さま、そして現地にご家族やご親族がいらっしゃる皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
災害が起こると、
「自分の住んでいる地域も大丈夫だろうか」
「また大きな地震が来るのではないか」
「家族に何かあったらどうしよう」
と、不安になるのは自然なことです。
防災用品を確認する。
家具の転倒防止を見直す。
家族との連絡方法や避難場所を確認する。
こうした日常の備えは、とても大切です。
一方で、災害の映像や情報を繰り返し見ているうちに、心や体が緊張し続けてしまうこともあります。災害時には誰でも不安を感じる可能性があり、睡眠や食事など、日々の生活を保つことも心のケアにつながります。
必要な情報を確認したあとは、テレビやスマートフォンから少し離れてください。
いつもの食事をする。
お風呂に入る。
眠る。
家族と話す。
植物に水をやる。
防災意識を持つことと、不安の中で暮らし続けることは同じではありません。
備えはさりげなく、意識は高く。
そして、普段の生活も大切に。
そのちょうどよい頃合いを、ご自身なりに見つけていただければと思います。
今年の夏は、少し早めに休みましょう
暑い中では、普段なら簡単にできることにも、思った以上の体力を使っています。
今年の夏は、頑張って乗り切ろうとしすぎずに。
休めるときに休む。
涼しい場所を選ぶ。
食べられるものを食べる。
水分をこまめに補う。
冷たい物も、温かい物も、その日の体調に合わせて選ぶ。
「少ししんどいな」と感じたときは、体からの小さな合図かもしれません。
いつも以上に、ご自身のこころと体をいたわってあげてください。
【参考】環境省「熱中症予防情報サイト」、厚生労働省、気象庁、国立精神・神経医療研究センター
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